ベタライレビュ

美味しい、楽しい、面白くて、便利なプロダクトのレビュを発信中

OREC製乗用タイプ草刈機 ラビットモア RM831X

Bybetterlives

4月 3, 2024

私の住む地域では、今では農業を専業でやっている人はごく僅かです。それでも70歳過ぎの方達は、専業農家だったのを引退して、何もやらないのも面白くないと自前の刈り払い機で日当をもらっての草刈り作業をシルバー人材センターから紹介される人が何人か居てくれました。うちでも元専業農家のシルバー人材が草刈りをやってくれていたのですが、コロナ禍突入の数年前の夏の終わりに、長くお願いしてきた方から高齢を理由にもう草刈りは出来ないと告げられ、遂にこの地域から草刈りが出来るシルバー人材が一人もいなくなってしまいました。

20年以上に渡りお願いしていた草刈りを頼む先を失ってしまい、どうにも自分でやるしかない事態に追い込まれてしまったわけです。自分でも刈り払い機は持っては居ましたが、使い方に慣れるほど草刈りをやったことはありませんでした。いざ自分でやることになっても、回転数をイタズラに上げて燃料を無駄にするわ、体の使い方が分かっていないので時間と労力を使うばかりで、草が伸びるのと競争するのにスタートラインにすら立てない始末。どうにも必要駆られて機械化に手を出すことになります。

最初に手を出したのは、本来なら法面、つまりは傾斜地で使うスパイダーモアでした。知らないとは言え、これを平地で延々と使っても時間と燃料ばかりかかって、草の伸びとの競争には到底勝てない夏の暑い日を過ごす羽目になりました。我が家は結構な面積の野っ原のど真ん中に建っておりまして、刈らねばならない面積は農家でもない身には絶望的。それでも誰にも頼れない。仕方なく、30度を軽く超えて40度にもなろうという夏の盛りに、ほぼ毎日スパイダーモアを押して、しょっちゅう給水に失敗しては軽い熱中症になりながらも、伸びる草との戦いは冬が来るまで続くのです。

実は、この地に新居を構えたばかりの夏、シルバー人材センターに草刈りを頼めることを知る前のことです。無謀にも自分で草刈りを試み、あえなく断念。伸びる草を見ながら絶望に駆られている最中にふとアイディアがよぎりました。広い土地に毎日はびこり伸び続ける雑草とは戦っても決して勝てない。なら、勝てるように備えるべきではないのか、と。そして思い浮かんだのが、かつてどこか外国で見かけた、広大な敷地に聳え立つ豪邸の庭で庭師さんが乗りながら草を刈る映像でした。ああ、そうだ、乗るタイプの草刈機、日本にもあるんじゃないか、と。

知り合いを伝って乗るタイプの草刈機を試しに持ってきてもらいます。草を10センチより少し低い位置で刈り取ることが出来ると説明され、触手が伸びそうになるのを押し留めたのはお値段でした。一台150万円!いや、いくらなんでもその金額を草刈りに費やすのって、アリなのか?この時点では、草刈りに挑戦して敗れたとはいえ、まだ、雑草の猛威を本当には理解しておらず、ただ金額の高さに怯むばかりで、今にしても思えば、その後草刈りにかけた費用はこれを軽く金額を超えたはず。ただし、自分ではやらずに人にやってもらっていたのも事実。頼める人をその後見つけて、乗るタイプの草刈り機のことはすっかり忘れて20年、思い出すこともないまま過ごせたのは幸運だったのでしょう。

それが否応なく乗るタイプの草刈機を思い出すことになって、いつもお願いする農機具屋さんに電話をかけてこのことを告げます。農機具屋さんはカタログを持ってすぐに来てくれました。持って来たのがORECのカタログでした。ウチならこのタイプか、このタイプが良いでしょうとおすすめされたのが大きめのものと、そしてこの機種の2機種でした。大きめの機種ならメーカーさんに言えば試しに持って来られますよと言われて、即座にお頼いしました。

数日経って連絡があり、草刈機が来たので持っていきますよと言われて大きめの機種が軽トラックの荷台に乗せられてやってきます。カタログを見た時にも思ったのですが、見た目は遊園地のゴーカートそのもの。あれよりは少し小さいものの、ハンドルやらレバーやらは遊園地で一キロ二キロ乗せてもらうのとほぼ一緒です。つまり、誰でも乗れる、誰にでも使えるように見えるものでした。

OREC製乗用タイプ草刈機 ラビットモア RM831X

農機具屋さんが荷台からおろして一通りの説明が終わると、チョークを引いてエンジンスタート。音もちょうどゴーカート風。ただし、遊園地のゴーカートよりは少しおとなしめの音でした。説明が終わるとシートに腰掛けてハンドルを握ってアクセルペダルを爪先で踏むとゆっくり前進、かかとで踏むとゆっくり後進します。右手にはアクセルレバーもあるんですが、前進も後進もペダルだけで出来てしまうと説明が続きます。そうこうしているうちに、じゃあ、草を刈ってみましょうと伸びている草原に草刈機を進めて分け入ります。

OREC製乗用タイプ草刈機 ラビットモア RM831X

私には少し離れて見てくれと告げて、右のアクセルとは違うレバー倒しながら、これで草刈りのブレードに接続しました、告げたと持ったら発進します。草っぱらに分け入って進んだと思ったら、いや、驚きのスピードで、通った後には粉々になった雑草が残されて、まるで絨毯を伸ばすかのようにみるみる草が刈れて真緑の通り道が出来上がります。更にスピードは上がり、自転車並みのスピードに達してあっという間に遠ざかり、通った後には雑草は綺麗に刈り取られて粉々に粉砕されて、後から刈った草を集めることも必要ない様子です。

OREC製乗用タイプ草刈機 ラビットモア RM831X

刈り払い機を使って草を刈ると、結構な丈に至っている倒れた草は、稲の藁のように地面に倒れていつまでも無くなりません。乗るタイプの草刈機で刈られた草はかなり小さなチップ状となり、見た目は藁のような草とは別物です。刈ったばかりの野原は気持ちの良い絨毯を敷き詰めたような様子になり、草を刈ったんだって実感がすごく湧いてきますし、とても良い気持ちにしてくれます。調子が出てきた農機具屋さんはどんどんと草を刈りながら何度もターンして草を刈ってくれます。気が付けば10分も経たないうちにかなりの面積の草が刈り取られ、刈ったばかりで真緑の野原に変貌します。これを刈り払い機で買ったら一日かかるなという面積を文字通りあっという間に刈ってしまって、藁も残りません。

結構な面積の草刈りをしてくれた農機具屋さんが戻ってくると、試しに私も乗ってみることに。簡単に操作法を教えてもらってから、最初はおっかなびっくりでゆっくりと運転しながら、後ろを見ては刈れている地面を確認して満足しながら進みます。慣れてきたので少しスピードをアップすると結構なスピード、それでも農機具屋さんの最高速度よりはよほどゆっくりでしたが、まるっきりの初体験でも難しい事は何もなく、私も10分ほど草刈りをして、いつもなら二日ほどかかる面積があっという間に刈れてしまいました。

農機具屋さんのもとに運転しながら草刈りしながら戻り、地面に降りると値段を聞きます。持ってきてもらったタイプは少し大きめで、実際にはもう少し小さなタイプで十分でしょうと添えながら、そっちのタイプなら60万ちょっとで大丈夫です、と。確か20数年前に持ってきてもらったものは、今日試しに使わせてもらったものより少し小さかったような。つまり、今度買うことになるかもしれない機種と同じくらいの大きさでは?あれの値段は150万だったのでは?

そこからは即決でした。それよりいつ持って来て貰えますか?もう、草が伸び始めてるんです、と。メーカーには事前に確認してますから、来週には持って来られます、と。やったあぁ〜、来週ならギリギリ間に合う!今よりも更にさらに伸びると乗るタイプでも大変だろうから、それまでに一度草を刈らねばならないけど、来週来るならそれをせずに済むかもしれない!

それから実際に草刈機が届くまでは、乗るタイプでは難しい傾斜地をもっぱらスパイダーモアで草刈りして過ごし、平らな場所は決して刈らずに伸びるのに任せて過ごします。本当に指折り数える気分でした。来るのが待ち遠しくて、久しぶりにワクワクしながら待ちました。

それから数日待って、待望の納車(?)です。農機具屋さんの軽トラックの荷台には、新品の乗るタイプの草刈機が乗せられてやってきます。荷台から降ろしておかれたピカピカのラビットモア やはり前回試した機種よりは小さめなので、少し、ほんの少しだけ残念にはなりましたが、いや、なにしろ乗るタイプの草刈機です。もう、スパイダーモア押さなくても良い、刈り払い機で手で狩らなくても良いんです。これに勝る喜びなんてあるわけがない。

OREC製乗用タイプ草刈機 ラビットモア RM831X

数日の間に 早速、少し伸びた野原の草を刈るべく、ラビットモアに乗り込みます。前の機種より小さいことが実感されて、ちょっとだけ残念になりますが、それは発進して少し経つとどこかに飛んで行ってしまいます。速い、速い、全然問題ない、思わず後ろを振り返ると、刈れてる刈れてる。走った後の地面は真緑に、刈られた草は粉々です。前回の試乗(?)の時に言われた、基本的には大きなカーブを描きながらグルグルと回って刈るイメージで初めての自分の乗用タイプで草を刈りながら走り回ります。根気よく待ってくれているのを良いことに、20分少しかけて、刈れるところは全部刈って戻ります。

いくつかの疑問も湧いたのを尋ねて答えをもらい、不安がなくなったところで納得して受け取りにサインして請求書を受け取ります。その日から草刈りシーズンが終わる晩秋を迎えるまで、何度も草刈機を使うたびに思ったのです。なんで、もっと早くにこれ買わなかったんだろうって。

もしも、乗るタイプの草刈機を買うか買うまいかと迷っている人がいましたら、私は申し上げたいのです。労力は10分の1、時間は100分の1、そしてあれだけ苦しかった草刈りが、今では楽しくてたまりません。迷わず買っちゃって、刈っちゃいましょう、と。